2009年12月10日木曜日

断尾について ブリーダーとして

イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルのブリーダーとして

断尾については必ず考えなければならない、避けては通れない話題です


現在我が犬舎のスプリンガーは全て断尾しています

断尾に関しては賛否両論あります

犬種によって断尾の慣習のある無し様々ですが、その理由も様々です

スプリンガーの場合、猟犬ですので、猟の最中草木で尾を傷つける可能性や振った尾が草木に当たって音を立ててしまう可能性を回避する為に尾を短くするというのがそもそもの理由です

JKC(ジャパンケネルクラブ)の犬種標準(スタンダード)によれば

「尾(テイル)
慣習的に断尾する
断尾する場合:尾付きは低く背線より上に掲げられることはない。被毛が豊富でよく動く。
断尾しない場合:尾付きは低く、背線より上に掲げられることはない。被毛が豊富でよく動く。全体とのバランスが取れている。」

とされています

断尾への反対意見は
日本でのスパニエルは猟に使っているのか?
猟に使わないのに断尾する必要があるのか?
猟師の何人が本当に断尾したスプリンガーを必要としているのか?
本来あるべき姿に傷を付けるのは動物愛護の観点から明らかに虐待ではないか?
などなど


10月2日のブログ「興味深い記事 スプリンガーのブリーダーとして」で触れましたが、ブリーダーとしてその犬種の犬種標準(スタンダード)を理解すること、そしてその犬の本来の目的にも対応することが重要で、そもそもスプリンガーのスタンダードもショードッグの為に書かれたものでは無く、スポーティング犬種として書かれているものです

猟場におけるスプリンガーの基本的知識無くしてスタンダードを理解、解釈することなど到底出来ないのです

スプリンガーの本来の姿、猟犬としての役割、それを考えた場合、猟場の草木で傷つく可能性の回避、振った尾が草木に触れて音を立てる事への回避は十分理解出来る事です

それ故、現在のJKCのスタンダードに「慣習的に断尾する」という記述がある事も理解は出来ます

だからと言って私は断尾に大賛成であるわけではありません

通常断尾は生後8日以内に麻酔せずに行いますが、これは神経がまだ十分に発達しておらず、痛みを伴わないからとされています

ただ、これに関してはまだ体が小さ過ぎてリスクを伴うので麻酔が使えないという事もあると思います

叫び声を上げる事がイコール激しい痛みを感じている事になるかどうかも不明です

出血もしますし、断尾後の小さな子犬を見ていて痛々しいのは事実です

けれども、断尾後数時間も経っていないのに、お腹が空いてミルク、ミルクとミャーミャー叫び声を上げ、母犬を探すのも又事実です

ブリーダーと一言で言っても販売目的のブリーダーから犬種の理想を求めて繁殖するブリーダーまで様々です

私はスプリンガーが大好きで、この愛くるしく、力強く、華麗で、優美な犬種の素晴らしさを存分に持ち合わせた、自分が考える理想とするスプリンガーを目指してブリーディングしています

健全である事が最低必須条件ですが、理想とするスプリンガーを考える時の指標となるのは、やはり猟犬としてのスプリンガーであり、スタンダードなのです。

何故なら、自分が繁殖したスプリンガーが評価される場所、それがドッグショーです

その評価によってチャンピオン(JKCやINTや)の称号が与えられ、血統書に記載されるのです

そのドッグショーでいかにスタンダードに近いかが評価の基準となる以上、スタンダードに見合ったスプリンガーを目指して行く事になります

「慣習」=社会に繰り返し行われる習慣的行動様式

これはそうそう簡単に変えられるものでは無く、変えるのには時間も掛ります

事実、日本のドッグショーで現在走ってるスプリンガーの全ては断尾されていますし、米国のESSナショナル(スプリンガーの全米大会)においても99%のスプリンガーが断尾されており、実際上位に入賞した犬は100%が断尾されているスプリンガーでした

スプリンガーを飼おうと考えられるオーナーの方にはまず、スプリンガーが断尾の慣習がある犬種である事を理解し知って頂きたいと思います

その上で断尾することに対し、賛成、反対と意見を持つ事は良い事だと思います

一般の家庭犬としてのスプリンガーの購入を考えていらっしゃるオーナーの方が断尾しないスプリンガーが欲しいとお思いになったら、購入先であるブリーダーの方に相談されてみては如何でしょうか?

スプリンガーのブリーダーの方の中には尾を切らないで欲しいとのご要望が最近出て来ていると聞きます

私のブリーディングはあくまでも自分の為のものであり、やみくもに販売してお金を得る為のものではありません

ですから、本来、産まれて来た子犬の全頭を100日以上過ぎるまで手元に置き、自分のところに残したい犬か否かを判断したいのが本音です

実際にそのようにされているブリーダーの方もいらっしゃいます

私の場合、その時々に応じて対応して行きます

ですから、今回のサラの子は現在男の子のみ予約受付中です

お引き渡しは60日以降を予定しています

お譲りするオーナー様は、お互いの考え、理解を深め、生涯責任を持って愛情を注いて下さる方にと思っています

断尾を行う生後8日以内ではまだ、どの子が我が家に残るのかは判断出来ないわけですから、全頭を断尾する事になってしまうという事情はあります

全頭断尾せずに、残す犬が決まった時点でその子だけ断尾すれば良いとのご意見もありますが、生後2ヶ月以上経っての断尾は全身麻酔となります

全身麻酔のリスク、それも又熟考しなければならない事なのです

断尾に対して意見を持つということは、その事に興味を持ち、勉強するということで意味があると思っています

私は断尾に対し強く反対しているわけでも、強く賛成しているわけでもありません

ただ、ブリーダーとしての考え方や事情をここに記す事で、一人でも多くの方が少しでも断尾について感心を持ち、考えて下さる時間が出来ればと思います

イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル

この愛すべき犬種の将来の為に、今日も子育てに専念し、一人でも多くの方がこの犬種を好きになって下さればとても嬉しいことです

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サラのパピー 8日目

イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル


Sarah (サラ)のパピー達

毎日サラの母乳とやぎミルクの授乳でめきめき大きくなっています


産まれたての時は手のひらに収まるサイズだったのに、今や動きも活発、まだ目は見えていませんがミャーミャーと奇声(?)を発し、お腹が空いた!ミルクはまだ?と自己主張します


頭の大きさ、体の大きさも明らかに差が出て来て、男の子は巨大化している子もおり、この子は将来絶対に大きくなる!と確信出来る子もいます


600g越えの男の子が2頭おり、女の子でも一番大きい子は625gまで成長しました


一番大きい女の子
サラの懐に抱かれて、気持ち良さそう
特等席をゲットし、 ママを一人占めなんて大したのもです!

そして、今日は断尾と狼爪(ろうそう)切除の為、病院へ行って来ました

昨日まで長かった尾

短くなりました

断尾に関しては賛否両論あります

犬種によって断尾の慣習のある無し様々ですが、その理由も様々です

スプリンガーの場合、猟犬ですので、猟の最中草木で尾を傷つける可能性や振った尾が草木に当たって音を立ててしまう可能性を回避する為に尾を短くするというのがそもそもの理由です
断尾に関しては数行で書き示せる事ではないので、別途書きます



狼爪(ろうそう)は余剰爪の事で、人間で言えば親指の場所にある爪の事です
狼爪は前肢にはありますが、退化して後肢には無い犬もいます
狼爪は岩場などを登る時に引っ掛ける為の役割だったと言われてはいますが、通常の歩行の邪魔になるだけでなく、猟犬では草木などに引っかけて傷める可能性がある為、切除します

サラの体と他の子の体に挟まれたまま、熟睡中~zzz

お顔のアップ
お鼻の色もピンク色から大分色素が沈着して来ました


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2009年12月7日月曜日

サラのパピー 5日目

イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルSarah (サラ)のパピー達
すくすく成長しています

産まれた時の体重は
一番小さい子で350g 
一番大きい子で455g 

増加率の多い子は5日で約100g体重が増えました

産まれてからの2週間は特に体重が増加しているか否かはとても重要です

産まれたての手のひらにおさまってしまう小さな体で兄弟姉妹達との競争に勝ち抜いて行かなければなりません

産まれた時の体重差が100g
これは10個あるサラの乳首に到達して、しっかり母乳を飲む競争において、既にハンディになるのです
というのも10個あっても実際に良く母乳が出るのは後ろ脚に近い4個
一番強くて大きい子がそこに辿り着ける確立が高いのです

だから確実に全頭の体重が増加するように、毎日3時間おきにやぎミルクの授乳をしています

可愛い寝顔
サラのお腹にぴったりくっ付いて寝る子
つぶされているとしか思えない
小さな爪とピンクの肉球
レバーの2頭で仲良く
窓越しの日差しを浴びて
ピンクの鼻先も徐々に毛が生えてきました

無防備な寝顔
数日で見納めになる長い尾(断尾予定です)
サラはハァハァ言いながら子育てしています


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