2010年2月9日火曜日

米国スプリンガーレスキュー English Springer Rescue America

English Springer Rescue America

米国にイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルのレスキューを専門とする団体があります

1998年3月に創設されたEnglish Springer Rescue America, Inc. (ESRA)はスプリンガーに情熱を注ぐ二人の女性が始めたスプリンガーの救済を目的とする非営利非課税組織です

スプリンガーを救済し、リハビリして、新しい家族の元へ送り出す事を使命としています

ESRA(イングリッシュ・スプリンガー レスキュー アメリカ)は実際の保護施設は存在せず、インターネットを通じて個人が働くボランティアグループなのです

ESRAには動物保護施設やスプリンガーが飼えなくなってしまい、新しい家を探す必要がある飼い主の元から来たスプリンガーを全米の里親の元に送り出しています

ESRAを通じて里親に出されるスプリンガーは純血種のスプリンガーで全ての年齢の牡、牝問わず、ショータイプとフィールドタイプの両方がおり、卵巣摘出や去勢済み、ワクチン接種と健康診断済みです


2009年ESRAは1777頭のスプリンガーを救済しました
景気が悪い状況下、解雇、抵当危機など多くの人が仕事や家を失い、アパートへの引っ越し、最悪の場合にはシェルターや路上生活を余儀なくされ、行き場を失ったペットが溢れる状況となっています
その救済にもこれまでに無くコストが掛る状況となっています
そんな中、アトランタで行われたスプリンガースペシャリティショーに於いて、ESRAの活動は大々的に取り上げられていました


Parade of Rescue (レスキューパレード)の時間がBOB戦の前に設けられており、ESRAから里親の元へ受け入れられたスプリンガーがオーナーと共に一頭一頭リング内を歩いて行きます

一頭一頭そのスプリンガーがESRAに救済された経緯、里親の元に無事嫁ぎ、現在元気にしている様子がアナウンスされます
虐待され、人間に恐怖心を持っていた子、視力も失っていた子がESRAに救済され、現在は里親の家族の元、子供たち共一緒に毎日庭を走りまわっている、、、と言ったように。


そしてパレードの後には飼い主一人一人にロゼットが渡されます



ほんの数分前までショードッグが走っていた同じリング
ショードッグはコートも綺麗で歩様もすばらしく、ネックを上げて美しく歩きます
今ここに居るのは同じ犬種ではありますが、地面の匂いを嗅ぎながらあっちやこっちと好き勝手に歩き回っているスプリンガー
飼い主と近所をお散歩しているほのぼのとした光景そのものです
壮絶な犬生を辿って来たスプリンガーは今はこうして飼い主の愛情を受け、幸せそうに歩いているのです
ESRAの努力の成果が今ここにあるのです
観客の視線もとてもあたたかく、ロゼットを手渡すESRAの方、関係者の方は涙していました
この涙、救われたスプリンガーへの涙であり、里親となって下さったオーナーの方への感謝の涙でもあると思います



何と言っても素晴らしいのは米国においてボランティアというシステムが根付いている事です
このESRAも多くのボランティアによって支えられています
米国には The Human Society of the United States という全米最大の動物保護団体があります
このSt. Louis支部を見に行った事がありますが、とても綺麗で立派な建物に保護された犬や猫が清潔な環境の中で生活しています
私がイメージしていたのは殺風景な金網で仕切られた犬舎に可愛そうな犬達が入れられている光景でしたが、実際はそれと正反対のとても綺麗な親しみ易い場所でした
入り口を入ると正面には可愛いグッズを売るショップがあり(勿論このショップの売り上げは寄付になります)、手前には猫達のウインドー、カウンターの奥へ進めば里親候補と犬や猫が対面して時間を過ごすプレールームが並び、その奥には犬のウィンドーがありました
まるで綺麗なペットショップです
これらの犬達のお世話はボランティアによってなされています
又、フードやその他様々な経費は地元の企業の寄付によって成り立っているのです

この寄付やボランティア、米国では幼少の頃から行う事が当たり前との認識がありますが、残念ながら日本ではそこまで浸透しているものでは無いと思います
一人でレスキューを行おうと思っても限界があります
ボランティアの力無くしては結局一人の経済的、時間的、体力的負担から破たんする事が目に見えています
アトランタのスプリンガースペシャリティショーではESRAが " WALK A MILE FOR RESCUE" キャンペーンを行い、WALK A MILE IN THESE SHOESというキャッチフレーズの元、ウエスタンブーツを持ったESRAの方が寄付金を募っていました
私も微力ながら寄付をしましたが、寄付金を箱や袋では無く、ブーツの中に入れる、というのは初めての事でした
又、ESRAはショップも出しており、スプリンガー関連の様々なグッズを販売していました
これらはネットショップでも購入可能であり、日本からも注文出来ます
更に、スプリンガーの絵柄の刺しゅうもESRAへの寄付として出ていました
用意されているTシャツなどにも刺しゅうしてくれますが、私はダウンベストとフリースジャケットをショー会場近くのショッピングモールで購入して来て刺しゅうを頼みました


犬舎名も入れて頂き、素敵なオリジナルウエアが出来上がりました
この刺しゅうをしているのもボランティアの方です
出来上がったウエアには
"Thanks so much for supporting Springer Rescue!!!"(スプリンガー救済へのご協力有難う)
とのメッセージが書かれている名刺が添えられていました
少しでも貢献が出来た事、嬉しく思うと共に、日本においても何か出来る事がないか、日本人の意識改革を行うと言った大それた事でなくとも、一人から始まるボランティア精神の心を徐々に拡大出来れば良いと切に思うのでした
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